よくある質問(患者様から寄せられた質問内容について掲載します)
- Q.アレルギー疾患には、どの様な疾患がありますか?
- A.じんましん(蕁麻疹)、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそく(喘息)、アナフィラキシー、ハウスダストアレルギー、食物アレルギー、動物アレルギー、昆虫アレルギー、薬アレルギー、金属アレルギー、口腔アレルギー、その他のアレルギーなど多々あります。
小児アレルギー疾患は、それぞれの病気に対してガイドラインという治療の指針は示されていますが、人によって原因・症状・治療方法は異なります。すなわち、オーダーメイドの治療が必要になります。このため、一人一人に時間をかけて診察を行う必要があるので小児アレルギー外来を設けております。 - Q.アレルギーの原因は、何ですか?
- A.現在その人がどのくらいアレルギーになっているかを見るのに免疫グロブリンIgE(アイジーイー)値がよく使われます。気管支喘息の子供の半分以上は1,000単位以上もあります。この数値が高ければ高いほどアレルギーが強いことになります。また、9割以上がダニや家の塵(チリ)に対しての抗体を持っております。花粉症の花粉抗原も喘息の原因となります。アトピー性皮膚炎がありよく下痢や吐いたりする様な場合には、食物抗原が考えられます。
もう一つの特徴は、気管支が過敏になっております。ヒスタミン吸入試験で調べると正常のお子さんより20倍以上過敏になっております。この原因には、気管支粘膜の一部がはげ落ち、神経の一部が裸のまま気道面に露出して、ちょうど虫歯で神経が露出している時、歯がしみる様に気管支もしみて、冷たい風や運動などのわずかな刺激でも咳や喘息状態になりやすくなっています。 - Q.アレルギーは遺伝しますか?
- A.アレルギーは親からの子へ遺伝します。アレルギーは遺伝的傾向の強い体質ある点、アレルギー体質の人は外からの色々な異物び対して、アレルギーを惹き起こす抗体をたくさん準備しやすいと言う特徴があります。また、両親がアレルギー病を持つ場合、40~70%の子にアレルギーが見られ、片方の親の場合も生後1歳半までに40%がなんらかのアレルギーの病気を持つと言われています。しかし、体質だから必ずしもアレルギーになるか?というと必ずしもそうではありません。
アレルギー体質は、海に浮かぶ氷山の隠れた下の部分と言えます。体質として持っていても、症状が出ないため気づかない人もいます。大人になって症状が出て、初めて気づく場合もあります。アレルギーの出る出ないは、遺伝情報だけでなく、あらゆる環境要因(日常生活の中でアレルギーを引き起こすもの)が合わせさって起こる複雑な病気と言えます。 - Q.アレルギー反応とは?
- A.本来、生体防御作用である免疫機構が何らかの作用で生体にとって不利益に働く場合を言います。
現在、その反応の形式などの違いから、次の四つのタイプに分かれている。
(1)I型:IgE抗体の関与する即時型のアレルギー反応で、ヒスタミン、ロイコトリエン、PAFなどの化学物質の産生が活発になって炎症を発生させ、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹(じんましん)、食物アレルギー、アナフラキシーショックなどを起こす。
(2)Ⅱ型:血小板や赤血球などの細胞膜自体が変性して抗原になったり、細胞膜の表面に抗原が付着して抗原抗体反応を起こし、細胞膜や組織を破壊する。血小板減少症、顆粒球減少症、溶血性貧血、新生児溶血黄疸のほか、血液型の違う血液の輸血によって起こる赤血球破壊など。
(3)Ⅲ型:抗原と抗体が結合した免疫複合体が、組織に沈着して補体が活性化されて起こる反応である。
(4)Ⅳ型:白血球の中のリンパ球の一種であるT細胞が関与する反応、T細胞が抗原を排除しようとした結果炎症が生じるが、この反応は、抗原が侵入してから24~48時間たってから起こるため、遅発性アレルギーとの言われる。結核の空洞形成接触性皮膚炎、臓器移植後の拒絶反応、慢性甲状腺炎(橋本病)ベーチェット病などがタイプに属す。 - Q.食物アレルギーとは?
- A.食物アレルギーというのは、ある特定の食物を摂取することにより引き起こされる様々のアレルギー反応症状です。食物アレルギーの症状は呼吸器、循環器、眼、皮膚、鼻、消化器中枢神経系、泌尿器系などのように全身の臓器に見られます。
最も激烈な反応はショック型反応であり、迅速な治療が必要です。特定の食物によって起きる蕁麻疹は有名です。乳幼児期のアトピー性皮膚炎の何割かはこの食物アレルギーにより起きる場合があります。(アトピー性皮膚炎のすべてが食物により起きるわけではない) - Q.食物アレルギーの診断方法は?
- A.【15~20分後(即時型反応)】
食べてから15分から20分以内に症状が出ます。例えばエビやカニを食べた直後に蕁麻疹が出たり、そばを食べると喉がチリチリし、その後喘息発作が出るなどです。これらの場合には食物摂取と症状との因果関係は非常に分かりやすいので診断も容易です。
【6~8時間後(遅発型反応)】
食べてから6時間から8時間、つまり半日後に症状が現れます。特定の食物を食べてから症状が出るまでに次の食事や間食もあるために、見逃すことがよくあります。
【1~2日後(遅延型反応)】
食べてから1日から2日後に症状が出ます。これはツベルクリン反応とよく似ています。食べてからかなり時間が経つので余程注意して観察していないと、見つけることが難しいのです。
食後すぐ症状の出るタイプ(即時型反応)が最も多く見られます。その後時間が経過するにつれて起き方は少なくなってきます。食物アレルギーの診断において、血液検査は補助的なものですが、食べてすぐ症状が出る反応(即時型反応)の場合は血液検査がかなり有力です。しかしながら食べてから症状が出るまでに時間が経過するにつれて、血液検査の診断の役に立ちません。それは食べてからすぐ症状が出る反応では抗体が重要ですが、時間がたってから起きる反応には、抗体ではなく細胞が重要な役割を果たしているからです。
食物アレルギーとアトピー性皮膚炎に関係があると疑われる場合には、血液検査だけでは不十分です。必ず疑わしい食物の除去試験及び負荷試験を行う必要があります。この食物除去試験及び負荷試験を行わないで診断すると、食物アレルギーの診断を大きく間違える可能性があります。特に小児のアトピー性皮膚炎の場合、食物除去につながるため、母親の心身のエネルギー及び家族の負担、更に患児の栄養バランス、ひいては成長発育に関する心配など数多くの問題点が発生するため、専門医と相談して慎重に行うべきです。 - Q.食生活とアレルギーに関係性がありますか?
- A.今一番問題となっているのはアレルギー疾患の拡大です。アレルギーとは、花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎に代表される免疫プログラムの過剰反応で、本来排除する必要のない物質に対して、過剰に免疫反応する疾患を言います。過去に比較して、日本人のアレルギー疾患の患者は爆発的に増えています。これは、高エネルギー食である欧米型食生活へ、合成保存食や着色料などの化学物質、高糖質、高脂質な欧米型食生活に移行していったことも何らかのかたちで関与しているとも言われます。
アレルギーを緩和できるのは、野菜や大豆、海産物をふんだんに使った高たんぱく、高栄養な本来の日本食であると言えます。 - Q.アレルギー性鼻炎とは?どの様な症状ですか?
- A.アレルギー性鼻炎とは、透明のさらっとした鼻水、鼻づまり、発作的で連発するくしゃみの3つの症状を主とするアレルギー疾患です。主な原因として、空気中に浮遊する花粉やハウスダストなどの原因物質「アレルゲン」を吸い込み、その成分が鼻の粘膜から体内に入ることによっておこるアレルギー反応です。
アレルギー性鼻炎には、スギ花粉などが原因となり、毎年同じ季節に起こる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」とハウスダストなどが原因となり、季節に関係なく年間を通して起こる「通年性アレルギー性鼻炎」とがあります。主な原因は、抗原抗体反応によるものです。 - Q.アトピー性皮膚炎とは、どんな病気ですか?
- A.普段、アトピーという言葉は、アトピー性皮膚炎を指して使われます。アトピーとは、「奇妙な」と言うギリシア語から由来しています。なぜ「奇妙な皮膚炎」と名付けたかと言うと、カブレで起きる様な湿疹の原因がわからない。その上治ったと思ったら、喘息や鼻炎が出たり症状が変わったりすることがあります。喘息のお子さんには特徴的なことが二つあります。一つは、アレルギーがあること、もう一つは気管支が過敏であることです。
- Q.アトピー性皮膚炎の治療方法にはどんな方法がありますか?
- A.内服薬や塗り薬を上手に使ってかゆみをコントロールすれば、掻くほど痒くなる悪循環やかき壊しによる感染、不眠から抜け出すことができます。しかし、これも補助的な役割です。住環境や食事療法、スキンケアなど、基本的な治療をバランスよく取り入れて、一つだけの治療法で治そうとしないで総合力で治療しましよう。もちろん、アレルゲン対策だけでなく、ストレス=こころ(例えば、食べたい時は食べる。但し、少量)にも気を付けましょう。
- Q.小児気管支喘息とはどんな病気はですか?
- A.喘息(ぜんそく)は、気道・気管の粘膜の炎症です。症状は、咳(せき)、ゼイゼイ、呼吸困難などの発作が続き、普段発作がない時は、いたって元気でいますが、夜間強い連続性の咳と共に「ゼイゼイ、ヒューヒュー」と、主に吐く息がしずらくなる呼吸困難などの症状を発作的におこします。風邪や冷たい空気を吸ったり、たばこやスプレーなどの刺激臭などで突然呼吸困難になったりすることがあります。喘息のお子さんには特徴的なことが二つあります。一つは、アレルギーがあること、もう一つは気管支が過敏であることです。
- Q.小児気管支喘息は、どの様に診断するのでしょうか?
- A.喘息状態は、感染症などでもそっくりの状態になることがあります。症状だけで喘息と素人判断は危険です。家族にアレルギーの人がいないか、アトピー性皮膚炎などの病気を過去、現在に有ったりしていないか、皮内テストや血液検査などで総合的に診断しなければなりません。
小児科専門医のところに受診して相談して下さい。ダニアレルギーがあるか否かは、皮内テストや血液検査ですぐに解ります。ダニアレルギーがあって「ゼイゼイ」していたら、喘息や喘息体質があると診断してよいです。 - Q.ハウスダストアレルギーを起こす原因(チリダニ)は何ですか?
- A.ハウスダストは、アレルギー性の喘息、一年中持続するアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の原因となります。家庭内の対策は重要です。日本では、主にヤケヒョウダニ・コナヒョウダニ(学名)の二種が、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の原因とやすい。名前が長いので「チリダニ」と言われています。チリダニは卵から成虫になるまで10~30日、寿命は雄で約30~40日、雌で約90~100日です。体長はミクロン単位の為、肉眼では見えません。